愛知県北名古屋市で昭和レトロに触れる！昭和日常博物館

愛知県北名古屋市にある「北名古屋市歴史民俗資料館(通称、昭和日常博物館)」は、昭和時代の生活用具や玩具などを豊富に収蔵し、昭和の生活史を発信している公立資料館です。

施設概要

60余年の時の流れのなかで、環境や生活、身のまわりのすべてが大きく変化した“昭和”。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電が普及し、日常生活のレベルが激しく変貌した時代と言えます。

「昭和日常博物館」では、そんな“昭和”の激動の変化を後世に伝える活動を目的に、1990年に開館(※1)。昭和時代をテーマとした展示会を展開し、資料の収集・保存にあたったのち、1997年に開かれた特別展「日常が博物館入りする時」で、フロアー全体を昭和30年代の資料で構成したことをきっかけに、「昭和日常博物館」として呼ばれるようになったそうです。

本来なら、捨てられるべき生活消耗品、廃品と紙一重の昭和を象徴する品々も、集約し“一群”となることで、単に懐かしさがあるだけでなく、昭和の生活を記録した貴重な文化財ととらえられ、多くの展示会を通して「昭和日常博物館資料」に集まっています。

※1.開館当時の名称は「師勝町歴史民俗資料館」。市町村合併により、現在の名称に変更

昭和世代が、平成・令和世代に語れる場所

「昭和日常博物館」は、昭和をテーマにしたコレクションを展示することで30余年前となる“昭和”を経験的に知る多くの来館者が、学芸員のように当時の様子を今の若者たちに語れるところが一番のポイントだと言えます。これはほかの施設ではなかなかできない「昭和日常博物館」だからこその、世代を超えたコミュニケーションスペースとも言えるでしょう。館内の展示資料は以下のテーマに分類されます。

展示テーマ1：おはよう

“朝”をテーマにしたコレクション。目覚まし時計や洗面用具、牛乳ビンなどを展示。

展示テーマ2：思い出の我が家

“住宅”をテーマにしたコレクション。当時の暮らしが感じられる、土間や土壁、ちゃぶ台、ハダカ電球、黒電話などを展示。

展示テーマ3：木造校舎の思い出

“学校”をテーマにしたコレクション。木造校舎の様子や、印刷機、給食用具などを展示。

展示テーマ4：なつかしい学用品

“学用品”をテーマにしたコレクション。ランドセルや教科書、鉛筆、筆箱、クレヨンなどの文房具を展示。

展示テーマ5：なつかしい玩具

“玩具・おもちゃ”をテーマにしたコレクション。ブリキやセルロイド製のおもちゃや、メンコ、野球道具などを展示。

展示テーマ6：かま炊きご飯の思い出

“調理道具”をテーマにしたコレクション。薪やご飯を炊く鉄釜、火吹き竹、かつお節削り器などを展示。

展示テーマ7：掃除・洗濯の思い出

“掃除・洗濯道具”をテーマにしたコレクション。ホウキ、チリトリ、たらいや洗濯板に加え、昭和30年頃に登場した電気洗濯機などを展示。

展示テーマ8：子育ての思い出

“育児用品”をテーマにしたコレクション。乳母車やセルロイド製のガラガラ、布製のおむつなどを展示。

展示テーマ9：酒・たばこの思い出

“嗜好品”をテーマにしたコレクション。当時のたばこやマッチ、酒瓶やグラスなどを展示。

展示テーマ10：おしゃれ

“美容”をテーマにしたコレクション。化粧水や、お白粉、手鏡や櫛などを展示。

展示テーマ11：あこがれの電化製品

“家電”をテーマにしたコレクション。ブラウン管のカラーテレビや電子ジャー、トースター、ミキサーなどを展示。

展示テーマ12：まちの風景

“街の景色”をテーマにしたコレクションを展示。木製の電信柱、ホウロウ看板、赤い郵便ポスト、公衆電話などを展示。

展示テーマ13：駄菓子屋さんの思い出

“駄菓子屋・お菓子”をテーマにしたコレクションを展示。ドロップ缶やサイダー瓶、駄菓子屋の店内などを展示。

展示テーマ14：なつかしい理髪店

“理髪店”をテーマにしたコレクション。サインポールや重厚なリクライニングチェアなどを展示。

展示テーマ15：夏のくらし

“夏季の生活”をテーマにしたコレクション。アイスキャンデー屋さんや、カキ氷機、蚊取り線香などを展示。

展示テーマ16：冬の支度

“冬季の生活”をテーマにしたコレクション。湯たんぽ、あんか、火鉢、石油ストーブなどを展示。

展示テーマ17：戦時下のくらし

“戦時中”をテーマにしたコレクション。防空頭巾、水筒、配給券などを展示。

展示テーマ18：暮らしの小片

“消耗品”をテーマにしたコレクション。ゼンマイ、牛乳瓶のフタ、ロウソク、乾電池などを展示。

懐かしさを感じることは高齢者ケアにつながる⁉

北名古屋市 高齢福祉課では「昭和日常博物館」と協力する“博福連携”の活動として“地域回想法”という展開を試みています。過去に思いをめぐらすことは、脳の活性化につながるとされ、自我の形成、自尊感情の高まり、自分自身を快適にするなど“個人・個人内面の効果”や、対人関係の進展、生活の活性化、環境への適応につながる“社会的・対外世界への効果”があると言われています。

実際に北名古屋市では、同市在住の概ね65歳以上を対象にした「回想法スクール」を定期的に開催しており、全8回の講義後の効果測定では、認知能力やうつ傾向の改善、介護負担の軽減などさまざまな面で効果が表れたそうです。

回想法とは？

アメリカの医師で、国立老化研究所の最初の所長でもあったロバート・バトラー氏によって提唱された、昔懐かしい生活用具を用いて、かつて自分が経験したことを楽しみながら、周囲と語り合うことによって、 脳を活性化させ、気持ちを元気にする心理・社会的アプローチ。回想法は、対人交流や情緒の活性化、高齢者の生活の質の向上に効果があるといわれています。

昭和を代表する画家・山下清の原画展を見に行きたい！